ディスクランチャー



皆さんは、ディスクランチャーという物を知ってますか?
多分、あまりメジャーではないので、知らない人も多いと思います。もちろん、おもちゃのようにバネとかゴムとかで飛ばすものではありません。
今回は、電気の力でぶっ飛ばします。

と言う訳で、いつもどおり早速制作に取り掛かります。







まず、とにもかくにも仕組みを知らないと作れないので、仕組みを調べます。仕組みは中学、高校の電気のレベルなので、比較的簡単です。学校の理科を覚えている人は、多分理解できます。

まず、ディスクランチャーでは何を飛ばすのか? ってことですが、「金属製の円盤」を飛ばします。名前そのまんまです。金属製の円盤でなければなりません。
詳しい装置の仕組みです。


まず、上の図を見て下さい。金属円盤の下には渦状のコイルがあり、コンデンサなどからの強い電気が流れて、一瞬磁場ができます。
そうすると、その磁力で円盤の中に電流が流れます。これが、「誘導電流」です。その電流ができることにより、今度は金属円盤から磁力が発生します。
この電流は、コイルからの磁力を打ち消す方向、つまり、コイルとは逆向きの電流が流れます。(図参照)そうする事で、コイルからの磁力線とは逆の磁力線ができ、反発して飛んで行くのです。

さて、このとき「何で磁力ができると電流が流れるのか?」という疑問がわくのですが、それはいまだに解明できていません。確実に言えるのは、「磁力が発生しないと、電流は流れない」また、「電流が流れると磁力が発生する」という事です。切っても切れない関係なんですね。
どういう事かと説明しますと、レールガンなど、超高速で飛翔する物体に通電させる時は、速すぎて磁界が追いつかない事があるそうです。そうすると、飛翔体の後ろの狭いエリアにだけ磁場が発生し、そこだけに電流が流れ、抵抗熱でプラズマ化するそうです。すると今度はプラズマに電流が流れ……
という様な事から、言い切れる訳です。解明したら、ノーベル賞物です。



さて、まずは渦状コイルの制作です。


このように、中心から外に向かって隙間なくちまちまと巻きます。
接着剤を塗りながら巻くと、奇麗に巻けます。乾かしながら巻くこと二日。エナメル線の太さが0.35mm、コイルの直径が5cmくらいなので、約71回です。恐らく。
ちなみに、ドライヤーで急速乾燥させると、目が痛くなります。

そして、コンデンサですね。やっぱり。


若松通商の400V@330μF電解コンデンサです。六つ並列接続します。総エネルギーは150Jちょいなので、感電したら大変です。
これは、もともと「多段式コイルガン」のために買ったものです。2パラレルで1段として、3段のものを作る予定です。

で、上記のものを充電する手段ですが、やっぱり使い捨てカメラの充電回路を使います。もうおなじみですね。
そして、やっぱりサイリスタがないので、手動でショートです。普通の線同士のショートでは、感電の危険性が高いのでこんなものを他のコイルガンから奪って流用してきました。


グリップに、太鼓ビスを流用したショートスイッチと、充電スイッチをつけたものです。これなら、感電の危険性が低くなります。


発射試験。


と言う訳で、それぞれの部品を適度に接続し、円盤をぶっ放したいと思います。
全体は、こんな感じです。


何か、関係ないブツまでつながってるけど、気にしたら負けです。
そんなこんなで、金属円盤を探すのですが、いいものがあります。


一円玉です。
軽い(1g)うえに、一部では電線にも使用され、そこそこ厚みがあるので抵抗がすくないのです。普通の物を使用する時には、最も適しているといえます。
一応、見本って書いておきました。

さっきも言ったとおり、金属製の円盤なら何でもいいので、問題ないでしょう。

発射すると、一円玉が早すぎて、急に消えたように見えます。その後、天井に衝突。大体、3〜4m飛んでいます。正直、ここまですごいとは思わなかった。
以下、動画です。



その後、他の硬貨でも試してみました。一円玉も含め、結果を記します。
・一円玉:3〜4m飛ぶ。すさまじい初速で上昇し、天井に当たる。
・五円玉:1cmくらい飛ぶ。4円高いだけでこんなに違う。
・十円玉:2cmほど。さほど面白くない。
・五十円玉:なぜか、0.数ミリしか上昇しない。上昇と言うより、わずかに跳ねると言った方が正しい気がする。
・百円玉:五十円玉と同じような結果。
・五百円玉:重く、なおかつ大きいので動かないと思ったが、以外にも5mmほど跳ねる。
と言う結果になりました。
ちなみに、そこら辺に転がっていたフェライト磁石でも両面試しましたが、動いてくれませんでした。

今回は、日本の硬貨で試しましたが、また今度、セントとかユーロとか韓国ウォンでやりたいと思います。
それまで、コンデンサが確保できてるかは分かりませんが…………


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